取締役会議事録の書き方完全ガイド|記載事項・テンプレート・AI活用【2026年版】

ふだんの会議メモは、出席した人のために書くものです。しかし取締役会議事録は逆で、「その場にいなかった人」のために書きます。翌期に監査に入る会計監査人、融資審査で資料を求める銀行、役員変更登記を審査する法務局、そして万一の紛争時に取締役の判断過程を検証する裁判所。読み手がすべて社外にいる、社内で唯一の会議記録といってもよいでしょう。
だからこそ、書き方の考え方がふだんの議事録とはまったく違います。通常の議事録はスピードと分かりやすさが正義ですが、取締役会議事録で問われるのは正確さ、抑制、そして一貫性です。法定の記載事項を満たし、決議の文言を正確に残し、余計なことを書かない。この3点に尽きます。
一方で現実には、経営企画や総務の担当者、あるいは何役も兼ねるスタートアップの経営者が、議論に参加しながら完璧な公式記録を同時に作ることを求められています。本記事では、取締役会議事録に書くべきこと・書いてはいけないこと、そのまま使えるテンプレートと記載例、実害につながりやすいミス、そして公式記録の品質を落とさずにAIで下書きを自動化する方法までを整理します。
⚠️ 本記事は、2026年7月時点の公開情報やユーザーフィードバックを基に独自にまとめたものです。
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。具体的な要件は会社の機関設計や定款によって異なるため、顧問弁護士や司法書士にご確認ください。
取締役会議事録とは?法律上の位置づけ
取締役会議事録は、取締役会の議事の経過の要領とその結果を記録した、会社法上の法定文書です。会社法369条により、取締役会の議事については議事録を作成し、出席した取締役および監査役が署名または記名押印(電磁的記録の場合は電子署名)することが義務づけられています。作成した議事録は、取締役会の日から10年間、本店に備え置かなければなりません(会社法371条)。
記載すべき事項は会社法施行規則に定められており、実務では概ね次の内容を押さえておけば足ります。
- 開催日時と場所(オンライン・ハイブリッド開催の場合はその方法)
- 出席した取締役・監査役の氏名、議長の氏名
- 議事の経過の要領とその結果(決議事項と可決・否決)
- 特別利害関係を有する取締役がいる場合はその氏名
- 意見・発言の記録が法律上求められる場合(監査役の報告など)はその概要
さらに実務上重要なのは、代表取締役の選定や本店移転など、登記申請の添付書類として法務局に提出する場面があることです。つまり取締役会議事録は社内文書であると同時に、外部の審査に耐える必要のある文書です。
古くから言われる原則は今も有効です。議事録に残すのは「何が決まったか」であって、「誰が何を話したか」ではありません。
通常の議事録との違い
いま自分がどちらの文書を書いているのかを意識するだけで、ありがちな失敗(チャットログのような取締役会議事録、無駄に形式的なチーム議事録)の大半は防げます。
| 観点 | 通常の会議議事録 | 取締役会議事録 |
|---|---|---|
| 目的 | 出席者が動けるようにする | 意思決定の法的記録を作る |
| 読み手 | チームメンバー | 監査人、金融機関、法務局、裁判所、将来の役員 |
| 詳細度 | 仕事に役立つなら自由 | 決議の文言と手続の正確さが最優先 |
| トーン | カジュアルで速い | 中立・事実ベース・毎回同じ形式 |
| 保存期間 | 数日〜数週間 | 10年間の備置き義務(実務上は永久保存が多い) |
| 承認 | 不要 | 出席役員の署名または記名押印 |
記載事項チェックリスト(10項目)
次の10項目が揃っていれば、監査・登記・デューデリジェンスの大半に耐えられます。
- 会社名と会議の種別: 定例取締役会か臨時取締役会か。
- 開催日時・場所: オンライン参加者がいる場合は「テレビ会議システムにより出席」の旨と、出席方法を明記。
- 出欠: 出席取締役・監査役、欠席者、オブザーバーの氏名と役割。議長と議事録作成者も記録。
- 定足数: 「取締役◯名中◯名出席により、本会は適法に成立した」という明示の一文。
- 招集手続: 招集通知の発出日と方法、または取締役・監査役全員の同意により招集手続を省略した旨。
- 決議事項は文言どおりに: 議案の正確な文言、審議の経過の要領、賛成・反対・棄権の別と結果。
- 提出資料: 資料はタイトルで参照し、別紙として添付(本文で長々と要約しない)。
- 特別利害関係: 該当する取締役の氏名と、決議から除外された旨。
- 閉会時刻と次回開催予定日。
- 署名または記名押印: 出席した取締役・監査役全員(電子署名も可)。
議論の経過は、議案ごとに1〜2文の中立的な要約で十分です。「マーケティング予算の配分について質疑が行われた」程度に留めます。反対意見を記録に残すよう求めた取締役がいれば、氏名とともに記載します。これは取締役自身の責任限定のための正当な権利です。
書いてはいけないこと
プロの議事録と危険な議事録を分けるのは「書かない技術」です。
- 発言の逐語記録。後から一部だけ切り取られるリスクを生み、全員が自分の発言を修正したがるため承認も遅れます。
- 主観的な形容。「白熱した議論の末」「素晴らしい提案」といった表現は法定文書に不要です。
- 顧問弁護士の助言の中身。「弁護士から助言があった」事実は書けますが、助言内容を要約すると秘匿特権や守秘の観点で不利益になり得ます。
- 人事議案の詳細な経緯。決議された処分・選解任の事実以上の記載は避けます。
- 決議に至らなかった仮の数字や憶測。
判断に迷ったら、こう自問してください。このページが訴訟の場で読み上げられたとき、すべての文について会社として説明に立てるか。
書き方の実務: 会議の前・最中・後
開催前。 アジェンダから骨格を先に作ります。ヘッダー、出席予定者、議案ごとのセクションを事前に埋めておき、招集通知と資料を添付します。ゼロから復元するより、準備した構造に流し込むほうが速く、毎回の形式も揃います。
開催中。 まず出欠と定足数を確定します。議案ごとに、議案の文言・審議の要領・採決結果を正確に記録します。議論は中立的な一行メモに留めます。決議の文言が曖昧なら、その場で議長に確認を求めてください。30秒の中断は、後日の紛争より圧倒的に安上がりです。
開催後。 記憶が新しい24〜48時間以内に全文を起案し、議長(必要に応じて顧問弁護士)に事実確認を依頼します。表現の推敲ではなく正確性のレビューです。完成後は出席役員の署名または記名押印(クラウドサインなどの電子署名でも可)を取得し、本店に備え置きます。登記に使う議事録は、法務局の様式要件も事前に確認しておきましょう。
そのまま使えるテンプレート
第◯回取締役会議事録
1. 開催日時 2026年◯月◯日(◯) ◯時◯分〜◯時◯分
2. 開催場所 当会社本店会議室
(一部の取締役はテレビ会議システムにより出席)
3. 出席者 取締役総数 ◯名 出席取締役 ◯名(氏名)
監査役総数 ◯名 出席監査役 ◯名(氏名)
欠席: (氏名) オブザーバー: (氏名・役割)
4. 議長 代表取締役社長 ◯◯◯◯
5. 議事録作成者 ◯◯◯◯
議長は、招集手続(招集通知 ◯月◯日発送/または取締役および監査役の
全員の同意により招集手続を省略)を確認のうえ、本取締役会が定款
および法令に基づき適法に成立した旨を述べ、開会を宣した。
第1号議案 (議案名)
(提出資料: 「◯◯」別紙A)
(審議の経過の要領を1〜2文で中立的に記載)
議長が本議案を諮ったところ、出席取締役は
(全員一致で/賛成◯名・反対◯名・棄権◯名により)これを承認可決した。
(反対した取締役があるときは氏名を記載)
第2号議案 (以下、議案ごとに繰り返し)
特別利害関係
(該当なし/取締役◯◯は第◯号議案につき特別利害関係を有するため、
審議および決議に加わらなかった。)
議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、◯時◯分閉会を
宣した。次回開催予定: ◯月◯日。
上記の決議を明確にするため、本議事録を作成し、出席取締役および
出席監査役は次に記名押印(または電子署名)する。
2026年◯月◯日
株式会社◯◯◯◯ 取締役会
議長 代表取締役 ◯◯◯◯ ㊞
出席取締役 ◯◯◯◯ ㊞
出席監査役 ◯◯◯◯ ㊞
記載例(この5行がすべて)
監査に耐えるスタイルを、議案ひとつ分の実例で見てみます。
第2号議案 2027年度予算承認の件
経理部長より2027年度予算案(別紙B)の説明があった。人員計画の
前提とマーケティング予算の配分について質疑が行われた。
議長が本議案を諮ったところ、出席取締役は賛成6名・反対1名により
これを承認可決した。(取締役◯◯はマーケティング予算配分を理由に
反対した旨、記録を求めた。)
ポイントは4つです。議案の文言を正確に引用する、資料は要約せず別紙参照にする、議論は中立的な2文に圧縮する、そして反対意見は本人の求めに応じて氏名つきで残す。取締役会議事録の技術は、実質この5行に凝縮されています。
実害につながる5つのミス
- 数週間後にまとめて作成する。 作成が大幅に遅れた議事録は、監査や訴訟で真っ先に疑われます。48時間以内に起案し、速やかに署名を集める運用にしましょう。
- 決定ではなく議論を記録する。 長い物語調の議事録は、相手方代理人に材料を与えるだけでなく、役員の自由な発言も萎縮させます。
- 決議の文言が曖昧。 「予算が承認された」では不十分です。どの版のいくらの予算か、議案の文言を引用します。
- 特別利害関係の記載漏れ。 実際には決議から外れていても、記録がなければ「なかったこと」になります。登記や監査で最も指摘されやすいポイントのひとつです。
- 署名・備置きが完了していない。 押印のない議事録はただのメモです。承認・署名・本店備置きまでがワンセットです。
ツールの選択肢: 何をどこまで任せるか
取締役会では経営戦略・人事・財務という最高機密が話されます。ツール選定の基準も、ふだんの会議とは変わります。
| 方式 | 強み | 注意点 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 手作業(担当者がタイプ) | 完全にコントロール可能 | 担当者が議論に集中できない。品質が属人化 | 少人数・低頻度の取締役会 |
| 取締役会支援ツール(ボードポータル) | 資料配布・決議・保管が一元化 | コスト高。議事録自体は結局手書きのことも | 予算のある上場企業・大規模組織 |
| ボット参加型AI議事録 | 自動で文字起こし | 機密会議にボットが参加者として入る。録音が外部クラウドに残る。同意設計が必要 | 機密性の低い社内会議 |
| ボットレスAIアシスタント(SuperInternなど) | 会議中に構造化された下書きが完成。参加者リストに何も表示されない。対面・全プラットフォーム対応 | 下書きはあくまで草案。担当者のレビューと正式な署名手続は必要 | 会議の体裁を変えずに作成負荷を下げたい取締役会 |
機密性の高い取締役会でツールを選ぶとき、決め手は文字起こしの精度ではありません。「参加者リストにボットが表示されてよいか」「録音データがどこに保存されるか」の2点です。
AIで下書きを自動化する: 公式記録の品質を落とさずに
正しい役割分担はこうです。AIが下書きを作り、人間が公式記録の中身を決める。 正式な議事録は今までどおりレビュー・承認・署名された文書のままです。AIが取り除くのは、「議論に参加しながら完璧な記録を同時に作る」という不可能な二重役割だけです。
この文脈で、SuperInternは取締役会と相性のよい設計になっています。

- ボットが会議に参加しません。 SuperInternはMac・Windows対応のデスクトップアプリで、PCのマイクとスピーカーから直接音声を取得します。参加者リストには何も表示されず、Zoom・Teams・Google Meet・Webexでも、会議室での対面開催でも同じように動きます。ハイブリッド開催の取締役会でも運用がひとつで済みます。
- AIキャンバスが議事録フォーマットで下書きします。 「出欠と定足数、議案ごとに議案の文言と採決結果、審議は中立的な1〜2文、特別利害関係、閉会時刻を記録する」と一度指示すれば、会議中にその構造で下書きが組み上がっていきます。
- Invisible Mode。 議事録担当者が資料を画面共有する場面でも、相手に見える共有画面にSuperInternのウィンドウは映り込まず、手元には下書きが表示され続けます。
- 話者分離とパーソナライズ辞書。 誰の発言かを自動で識別し、役員名や社内用語の表記ゆれを防ぎます。
- 会議後のAIチャット。 「全議案の文言と採決結果を一覧にして」と聞けば、自分のメモとの突き合わせが数時間ではなく数分で終わります。
- 50以上の言語のリアルタイム翻訳。 海外役員が英語で発言する取締役会でも、内容を追いながら日本語の下書きを組み上げられます。

正直な注意点も2つ。第一に、AIの出力はあくまで草案です。担当者が法定文書の抑制されたスタイルに整え、役員が署名して初めて議事録になります。第二に、取締役会を録音・文字起こしすること自体が経営判断です。取締役会の同意を記録に残し、議事録承認後は元データを削除する、といった保存ポリシーもあわせて設計してください。
SuperInternには無料プラン(クレジットカード登録不要)と、月100時間まで使える月3,300円のPlusプランがあります。まずは経営会議や委員会など、取締役会より軽い会議で下書きの品質を確かめてから本番に導入するのがおすすめです。
よくある質問
取締役会議事録は公開されますか? 公開義務はありません。ただし株主は権利行使に必要なとき閲覧・謄写を請求でき、監査役設置会社などでは裁判所の許可が必要になります(会社法371条)。また監査・登記・訴訟の場面では提出を求められます。だからこそ、誰に読まれても耐える抑制された書き方が重要です。
どこまで詳しく書くべきですか? 決議は詳しく、議論は簡潔に。議案の文言と採決結果は正確に、審議の経過は議案ごとに1〜2文の中立的な要約で十分です。2時間の会議で議事録が数ページを大きく超えるなら、書きすぎを疑ってください。
誰が署名しますか? 出席した取締役および監査役の全員です(会社法369条)。記名押印に代えて電子署名も認められています。署名・押印の回収漏れは登記や監査で指摘されやすいため、回収完了までを期限管理に含めましょう。
議事録作成のために録音してもよいですか? 取締役会の同意を得たうえでの録音は一般的な実務です。下書きの正確性のために録音・文字起こしを使い、議事録の承認後に元データを破棄して「承認済み議事録だけを唯一の公式記録にする」運用を採る会社も多くあります。
保存期間はどれくらいですか? 会社法上、取締役会の日から10年間の本店備置きが義務です(会社法371条)。実務上は、会社の歴史を再構成できる唯一の記録として永久保存を推奨する例が多数派です。
AIに取締役会議事録を書かせてよいですか? 下書きとしては極めて有効です。決議の文言・採決・出欠をリアルタイムで捕捉できます。ただし、何を公式記録に残すかという判断と、署名による承認は人間にしかできません。AIは起案者であって、承認者にはなれません。
まとめ
取締役会議事録は、書き方の巧拙がそのまま法的な意味を持つ、唯一の会議文書です。やることは安定しています。決議は文言どおりに、議論は中立的に要約し、特別利害関係を明示し、速やかに署名を集め、10年(実務上は永久に)保管する。構造はテンプレートが解決し、残る技術は「書かない抑制」です。
そして、ひとりの担当者が議論に参加しながら完璧な記録を作るというボトルネックは、もう前提ではなくなりました。ボットレスのAIアシスタントが会議中に構造化された下書きを組み上げ、担当者を含む全員が議論そのものに集中できます。
次の取締役会から、下書きは会議中に完成させましょう。SuperInternは無料で始められます(クレジットカード登録不要)。